渋谷道玄坂という都内屈指の超一等地に構えていた丸亀製麺渋谷道玄坂店。ランチタイムには店内席が常に満席となり、テイクアウトやクイックランチを求めるオフィスワーカーや学生で歩道にまで行列が伸びる光景は日常茶飯事でした。それゆえに、突然の営業終了告知が掲示された際には「これだけ客が入っていたのになぜ?」という困惑の声がネット上を駆け巡りました。
一部のネットコミュニティでは「採算悪化による撤退ではないか」「人手不足が限界に達したのではないか」といった憶測も飛び交いましたが、飲食業界の構造や運営元である株式会社トリドールホールディングスの出店戦略を精査すると、まったく異なる背景が浮かび上がってきます。
最も決定的な要因は、定期建物賃貸借契約の満了とビル自体の設備更新・再開発フェーズにあります。道玄坂周辺は100年に一度とも称される渋谷大規模再開発の波を受け、地価・賃料相場が劇的に高騰し続けているエリアです。客単価が500円〜800円前後にとどまるセルフうどん業態において、契約更新に伴う大幅な賃料改定や原価高騰を受け入れることは、どれほど客数が多くとも営業利益率を著しく圧迫するリスクを伴います。
運営企業としては、収益構造の健全性を維持するために契約満了のタイミングで潔く撤退を決定し、旗艦店リソースを他エリアや新フォーマット店舗へ再配置する「スクラップ&ビルド戦略」を実行したというのが客観的な事実です。