1980年代後半から1990年代にかけて、マイカーブームと物流網の拡大を背景に、ロードサイド型ラーメンチェーンは空前の黄金期を迎えました。その牽引役の一つが、株式会社秀登(千葉県に拠点を置く外食企業)が展開したラーメンとん太です。手頃な価格設定と、深夜営業、大型トラックも停められる広い駐車場を備えた店舗形態は、長距離ドライバーや現場作業員、そして郊外のニュータウンに暮らすファミリー層の胃袋を瞬く間に掴みました。
ところが2000年代以降、その風景は急速に変容していきます。最大の要因は大手外食資本によるロードサイドの寡占化です。幸楽苑や日高屋といった低価格チェーンの大量出店、さらには丸源ラーメンや山岡家といった強力なオペレーション力と資本力を持つメガチェーンが郊外バイパスに続々と進出。タッチパネル注文や大型キッズスペース、キャッシュレス決済を完備した最新鋭店舗に対し、昭和スタイルの独立採算型FC店舗は激しい防戦を強いられました。
追い打ちをかけたのが、個人加盟店主の高齢化と事業承継の壁です。とん太のFC展開は、オーナー店主の独立開業を後押しする形で拡大したため、1980年代に中年期で開業した店主たちが2010年代半ばから次々と70代〜80代を迎えました。厳しい厨房作業を伴うラーメン業態において後継者が見つからない店舗は、惜しまれつつも暖簾を下ろす選択を余儀なくされたのです。加えて、コンビニエンスストアのイートイン拡充やホットスナックの進化により、深夜帯のドライバー需要が分散したことも店舗数激減に決定的な影響を与えました。