マッシュの爆発的な浸透を語るうえで、ポップカルチャーの変遷を無視することはできない。2010年代半ば、音楽シーンの最前線で圧倒的な存在感を放った米津玄師のビジュアルは、重たい前髪で目元を隠すミステリアスな美学を世に決定づけた。顔の半分を覆うようなアンニュイな影が、クリエイティブで繊細な男性像の記号となったのだ。
そこへ映像配信の世界的台頭が拍車をかける。Netflixで世界的大ヒットを記録した『今際の国のアリス』で山﨑賢人が見せた無造作で躍動感のあるスタイルは、従来の「優等生的な丸み」を大胆に崩し、ワイルドさと繊細さが同居する新たな男性美を提示した。テレビや映画、ストリーミング画面を通じて、丸みを帯びたトップとタイトな襟足のコントラストが、あらゆる世代の網膜に焼き付けられていった経緯がある。