仏壇の前や横に設置する盆棚には、霊供膳だけでなく季節の収穫物や伝統的な調度品を飾ります。その中心的な存在が、キュウリとナスに割り箸を刺して作る精霊馬(しょうりょううま)です。
盆棚精霊馬の飾り方には、ご先祖様に対する深い情愛が込められています。足の速い馬に見立てたキュウリは「あの世から一刻も早く家に帰ってきてほしい」という願いを表し、歩みの遅い牛に見立てたナスには「この世からあの世へ戻る際は、名残を惜しみながらゆっくり景色を眺めて帰ってほしい、また沢山のお供え物を背中に載せて運んでほしい」という祈りが込められています。
そのため、飾る方角とタイミングには厳密なルールが存在します。迎え盆(8月13日)の夕方から飾る際は、キュウリの頭を仏壇や家の中(迎え入れる方向)に向けます。一方、送り盆(8月16日)が近づいた段階で、ナスとキュウリの頭を玄関や外(送り出す方向)へと反転させるのが伝統的な作法です。
また、猛暑が深刻化する日本列島において、生ものを数日間にわたって常温放置することは極めて危険です。お盆期間中、仏前に絶やさず供え続ける品としては、お盆お供え日持ちする食べ物を賢く選別する知識が欠かせません。
贈答品やお供えの定番として定着している素麺(そうめん)は、細く長く幸せが続くことを願う縁起物であり、乾燥品のため傷む心配がありません。果物を選ぶ際は、桃やバナナのように傷みやすくコバエが湧きやすいものではなく、皮が厚く日持ちのするスイカ、メロン、リンゴなどが適しています。菓子類であれば、個包装された高級羊羹や焼き菓子、真空パック詰めされた落雁を選ぶのが賢明です。傷みやすい生鮮菓子を供える場合は、読経や礼拝の直前に供え、後述する通り短時間で下げる配慮が不可欠です。