国境を越えたムーブメントとして記憶に新しいのが、英国の作家E・L・ジェイムズが放った『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のメガヒットだ。大富豪と女子大生の特異な恋愛模様を描いたこの三部作は、欧米を中心に世界中で「マミー・ポルノ」と呼ばれる社会現象を巻き起こした。
この作品がもたらした最大の功績は、女性が官能的なエンターテインメントを堂々と楽しむ権利をオープンにした点にある。背徳的な支配と服従、その裏に隠された傷つきやすい魂の救済というテーマは、日本の読者層にも鮮烈な印象を残し、性愛を描いた物語に対する偏見を大きく取り払う契機となった。