結論から述べると、美空ひばりさんが生涯で唯一「夫」と呼んだ相手は、名優・小林旭さんです。1962年(昭和37年)11月5日、当時25歳だった美空ひばりさんと、24歳だった小林旭さんは、東京・日比谷の日活国際ホテルで豪華絢爛な神前結婚式を挙げました。当時の披露宴には政財界・芸能界から約1,000人もの招待客が詰めかけ、テレビ中継の視聴率も跳ね上がるなど、まさに国家的な祝祭行事のような熱狂に包まれました。
しかし、この華麗なウェディングの裏には、現代の法制度や一般的な婚姻関係から見ると信じがたい事実が隠されていました。二人は婚姻届を提出しておらず、戸籍上は法的な夫婦ではない「事実婚」のままだったのです。
世間がこの事実を知ったのは、1964年6月の電撃離婚会見の場でした。ひばりさん自身は戸籍上も完全に妻になったと信じ込んでいた節さえあり、入籍手続きの一切を任されていた母親・加藤喜美枝さんが、意図的に婚姻届の提出を先送りにし続けていたことが判明したのです。国民的歌姫の唯一の結婚は、法的には生涯一度も成立していなかったという皮肉な結末を迎えました。