愛娘の障害と学校選びでの挫折は、菊池桃子の人生の舵を大きく切らせることになりました。「なぜ障害があるというだけで、社会から切り離されなければならないのか」。この根源的な疑問を解消するため、彼女は40歳にして法政大学大学院政策創造研究科に入学。雇用問題や障がい者就労、キャリアデザインに関する本格的な学術研究に身を投じました。
2012年3月に修士課程を修了し、政策創造修士(専門職)を取得した菊池桃子は、その後母校の客員教授に就任。そして2015年、安倍内閣が発足させた「一億総活躍国民会議」の民間議員に抜擢されることとなります。
会議の席上、菊池桃子は一貫して「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」の重要性を訴え続けました。「障害を抱える当事者だけでなく、彼らを支える家族が介護離職に追い込まれず、誰もが能力を発揮できる社会インフラを作らなければならない」という彼女の提言は、机上の空論ではなく、自らが愛娘を育て上げる中で流した涙と現場のリアルに基づいたものでした。一人の母親としての痛切な実体験が、国の政策方針を動かす大きな原動力となったのです。