医学界において、片方の腎臓だけで生活する状態は片腎(単腎症)と呼ばれます。長年、片方の腎臓が失われても残された側が代償性に肥大し、必要な機能をほぼ100%カバーできると考えられてきました。しかし、近年の疫学データは、より繊細な実態を物語っています。
残された腎臓の糸球体(血流を濾過する超微細なフィルター)には、常に通常以上の圧力がかかります。この「過剰濾過」の状態が何年も続くと、年齢を重ねるにつれて微量アルブミン尿が出やすくなったり、徐々に血圧が上昇しやすくなったりする傾向が確認されています。過剰な心配は無用ですが、「機能が倍働いているからこそ、ダメージを受けたときの予備能力が少ない」という不可逆的なリスクの真相を理解しておく必要があります。