首都圏を洪水から護る水害対策の要として、巨大な治水インフラが24時間体制で稼働を続けている。埼玉県春日部市の地下50メートルに建設された「首都圏外郭放水路」は、中川や綾瀬川などの中小河川の増水を地下で取り込み、江戸川へと流し込む世界最大級の放水路だ。その荘厳な柱の群れは、首都圏の地下に潜む防衛線として機能してきた。
しかし、本流である荒川自体の超大型洪水に対処するため、現在はさらにスケールの大きな国家プロジェクトが進行している。それが「荒川調節池群整備事業」だ。既設の彩湖(荒川第一調節池)に加え、さらに広大な調節池を増設・整備することで、氾濫危険水位に達した荒川の濁流を一時的に大量貯留し、下流の都心部へのピーク水量を直接削り取る構造を作り上げている。巨額のインフラ投資と先端土木技術の融合こそが、最悪の水害を防ぐ物理的防壁となっているのだ。