塩数の子を購入した際、多くの人が直面するトラブルが「苦味が出てしまった」「食感がふにゃふにゃになってしまった」という失敗です。その原因のほぼ100%は、真水を使って一気に塩を抜こうとしたことにあります。
真水に浸けると浸透圧の急激な変化によって卵が破裂しやすくなり、さらにニガリ成分(塩化マグネシウム等)が卵の内部に閉じ込められて強いエグ味を生じさせます。正しい塩抜きには、あえて塩水を用いる「呼び塩(迎え塩)」の手法が不可欠です。
失敗ゼロの「呼び塩」塩抜きステップ
1. 水1リットルに対し、食塩小さじ1(約5g)を溶かした「0.5%前後の薄い塩水」を用意します。
2. 塩数の子を浸し、常温ではなく冷蔵庫の中で約6〜8時間静置します。
3. 同じ濃度の塩水を取り替え、再び6〜8時間浸します。これを2〜3回繰り返します。
4. 端を小さくちぎって味見をし、「ほんのわずかに塩気が残っている程度」で完了です。完全に無塩まで抜いてしまうと、今度は味付けの調味料を吸いすぎて輪郭がぼやけてしまいます。
5. 表面の薄皮(白い膜)を親指の腹で優しく撫でるようにして剥ぎ取ります。このひと手間で調味料の染み込みと見た目の美しさが格段に向上します。
黄金比で仕立てる「味付け数の子」レシピ
塩抜きを終えた数の子は、出汁の効いた調味液に漬け込むことで真価を発揮します。
・鰹昆布出汁:200ml
・薄口醤油:大さじ2
・みりん:大さじ2(煮切ってアルコールを飛ばす)
・酒:大さじ1(煮切ってアルコールを飛ばす)
冷ました調味液に水気を拭き取った数の子を浸し、冷蔵庫で半日から一晩寝かせます。仕上げに削りたての鰹節をふんだんに天盛りにすれば、出汁の芳醇な旨味と数の子の心地よい咀嚼音が響き合う、専門店さながらの一皿が完成します。