事件の本質を読み解くうえで、いま最も注目されているのが当時の捜査記録や未公開資料の存在だ。警視庁による怒涛の取り調べと、その後の法廷闘争において最大の発争点となったのは、被告の「精神鑑定」結果と責任能力の有無であった。
第一審と第二審、そして最高裁判所の判断に至るまで、専門家たちの間でも見解は真っ向から対立した。多重人格(解離性同一性障害)なのか、統合失調症による心身喪失なのか、あるいは極限状態における人格障害にすぎないのか。当時の精神医学の限界と、司法が突きつけられた「狂気と責任」の判断基準は、2026年の現在、最新の精神医学的知見を用いて改めて再検証されている。