爪の先端が薄くめくれ上がり、まるで2枚の板が重なっているように見える状態。一般的に二枚爪とは、医学的な診断名で爪甲層状分裂症(そうこうそうじょうぶんれつしょう)と呼ばれる爪の疾患・トラブルを指します。なぜ硬いはずの爪が、紙やパイ生地のようにペラペラと薄く剥がれてしまうのでしょうか。その決定的な理由を解き明かすには、まず爪そのものの解剖学的な構造を知る必要があります。
人間の爪(爪甲)は、決して1枚の均一なプラスチック板のような構造ではありません。皮膚の角質が変化した「硬ケラチン」という繊維状のタンパク質が主成分であり、顕微鏡レベルで見ると、上から「背爪(はいそう)」「中間爪(ちゅうかんそう)」「腹爪(ふくそう)」という3つの層が重なり合って形成されています。健康な成人の爪の厚さは平均して約0.5mm〜0.7mmほどですが、このうち最も外側にある背爪と、真ん中の中間爪の間は、繊維の走る方向が異なっています。
皮膚科学の専門文献や臨床データによると、健康な爪には通常12%〜16%程度の水分と、層と層をぴったりとつなぎ止める「細胞間脂質(セラミドやコレステロールなど)」が含まれています。ところが、何らかの理由でこの水分と脂質が失われると、3つの層の接着力が急激に低下します。その状態で爪先に物理的な衝撃や負荷が加わると、繊維の結合が耐えきれなくなり、一番上の「背爪」が「中間爪」から浮き上がって裂けてしまうのです。これが、爪先が薄く剥がれる現象の正体です。