JZX100型3兄弟を比較する際、多くのファンが注目するのが100系クレスタとチェイサーの違いです。エンジンやサスペンション、ホイールベース(2,730mm)といった基本メカニズムは3車種で完全に共通していますが、エクステリアとインテリアの設計思想には明確な役割分担がなされていました。丸型4灯風ヘッドライトと短いオーバーハングでアグレッシブな走りを強調したチェイサー、王道の高級感を纏ったマークIIに対し、クレスタは「パーソナル・プレステージ・サルーン」として最も重厚かつフォーマルな造形が与えられました。
自動車史の記録を紐解くと、クレスタは初代GX51型や大ヒットしたGX71型の時代から、中古車市場において同年式のマークIIよりも高値で取引されることがあったほどのブランド力を誇っていました。北米市場で販売されていたMX73系クレシーダ(マークIIセダンの輸出仕様)のフロントマスクにGX71系クレスタの意匠が取り入れられていた歴史からも、その端正なスタイリングが国内外で高く評価されていた事実がうかがえます。
100系においても、その独自の美学は徹底されています。最大の外観的特徴は、マークIIやチェイサーが窓枠のない「サッシュレス・ハードトップ」を採用しているのに対し、クレスタは窓枠のある「プレスドア」を採用したセダンボディである点です。このプレスドア構造は見た目の落ち着きだけでなく、経年劣化した際のウェザーストリップからの雨漏りや風切り音を抑え、ボディ開口部の剛性感を保つうえで実用上の大きなアドバンテージとなっています。
また、カスタムと純正エアロの観点からも、クレスタならではの魅力が再評価されています。1998年8月のマイナーチェンジで登場したスーパールーセント後期型やルラーン後期型では、ヘッドライトがマルチリフレクター化され、フロントグリルやリアコンビネーションランプのデザインが一新されました。特に純正オプションのフロントリップスポイラーやサイドマッドガードを装着し、車高を絶妙に落とした「純正エアロ+アルファ」のスタイルは、チェイサーの派手なドリフト仕様とは一線を画す「大人の羊の皮を被った狼」として、20代〜40代の愛好家から熱烈な指名買いを集めています。