ドラマの原作となったのは、人気作家・時鏡による大ヒットWEB小説『坤寧』です。原作小説とドラマ版を比較すると、メディアの違いや視聴者感情に配慮したいくつかの重要な改変点が見受けられます。
最大の違いは、前述した「転生の導入構造」です。原作では純粋なタイムリープ・生まれ変わりとして描かれますが、ドラマ版では作家の創作世界という多重構造が採用されました。また、キャラクターの造形においても細やかな調整が行われています。
原作の謝危は、狂気と偏執的な独占欲がさらに強調されたダークヒーローであり、姜雪寧への執着も極めて苛烈に描写されていました。ドラマ版では張凌赫の繊細な演技力も相まって、彼の内面に潜む孤独や脆さ、姜雪寧に対する自己犠牲的な愛情がより前面に押し出され、視聴者が感情移入しやすい深みのある人物像へと昇華されています。また、姜雪寧の親友である長公主・沈芷衣(劉些寧/リウ・シエニン)とのシスターフッド(女性同士の連帯)の絆もドラマ版で大幅に強化され、重層的なドラマを生み出す原動力となりました。