新紙幣を手にした誰もが目を奪われるのが、左側に施された最先端の3Dホログラム技術である。紙幣を傾けると、肖像画の津田梅子の顔がまるで生きているかのように立体的に回転する。この高度なホログラムを銀行券に実用化したのは世界でも類を見ない画期的な試みだ。
製造を担う国立印刷局の技術力は、世界最高峰の金融・造幣産業を支える礎である。微細な線で構成されたマイクロ文字、触覚で券種を判別できる深凹版印刷のインク盛り、光を透過させることで精緻な濃淡が浮かび上がる「すかし」の進化など、偽造を完全に封じ込めるための仕掛けが何層にもわたって張り巡らされている。
技術者たちが手作業で彫刻した原版を元に、最新のデジタルセキュリティを融合させるプロセスは、伝統工芸の極みとハイテク技術の結晶そのものだ。偽造集団との終わりなき闘いの中で磨かれた日本の造幣技術は、まさに紙幣という手のひらサイズの美術品を創り上げている。