インターネット上の掲示板やSNSでは、本作に関して「アニメの物語をそのままなぞっただけの企画ソングではないか」「躁病的なハイテンションを歌った狂気的な曲なのではないか」といった表層的な憶測が散見されます。しかし、これらの言説は作品の意図を正確に捉えているとは言えません。
第一に、シュガーソングとビターステップの元ネタや制作背景について、田淵智也氏は各媒体のインタビューにおいて一貫して「タイアップ先へ誠実に応えつつも、自分たちがステージで歌う必然性のある言葉しか選ばない」というスタンスを明言しています。アニメ『血界戦線』が持つ「理不尽な世界で愛と平和を叫ぶ」という骨子を汲み取りながらも、UNISON SQUARE GARDENというスリーピースロックバンドが掲げる「ライブハウスの現場で自分たちの音楽を鳴らす美学」と完全に同期させているのです。
第二に、「躁状態の歌」という誤認についても、歌詞の文脈を丹念に解釈すれば正反対のメッセージであることが分かります。サビで高らかに歌われるフレーズは、熱狂に身を任せて思考停止することを促すものではありません。むしろ「周りがどれほど騒いでいようと、自分にとって大切な孤独や悲しみを安売りするな」という、極めて醒めた、理性的で自律的なメッセージが込められているのです。