30代後半から40代へと差し掛かる年代でありながら、なぜ頑なに「引退」の二文字を口にしないのでしょうか。周囲が「実質的な引退状態ではないか」と囁く中、本人が語る本田圭佑が引退しない理由には、極めて論理的かつ彼特有の人生哲学が根底に存在します。
公式会見や自身のネット配信、過去のインタビューにおいて、本田は「引退を決める権利は自分にある」「辞める理由がない限り、現役と言い続ける」と一貫して明言してきました。プロアスリートの世界では、契約先がなくなれば自然と引退記者会見を開くのが通例ですが、本田はその固定観念そのものを疑っています。「情熱があり、体を動かし、オファーがあれば地球の裏側へでも飛んでプレーする」という純粋なフットボーラーとしての欲求を、世間の常識によって自ら制限することを拒絶しているのです。
心理学的な観点から分析すると、これは「自己決定理論(Self-Determination Theory)」に基づく究極の自己統制と言えます。他人の評価や世論のラベル付けに自己を委ねるのではなく、自らのアイデンティティを自らの意志で定義し続けること。この妥協なきメンタリティこそが、世界中のファンを惹きつけてやまない本田圭佑の真骨頂です。