統計上の数字以上に深刻なのが、現場で働く隊員たちの精神的摩耗です。都内の大手警備会社に勤務する50代の施設警備員は、取材に対して次のように重い口を開きました。
「商業施設の当直勤務は朝9時から翌朝9時までの24時間拘束。仮眠時間は設定されていますが、深夜でも防災盤の警報が鳴れば飛び起きなければならず、実質的な睡眠は2〜3時間の細切れです。館内で不審者や迷惑客を注意すれば、スマホを突きつけられて罵声を浴びせられる。それでも手取りは20万円を少し超える程度。若い人が入ってきても、最初の夜勤を終えた翌週には連絡がつかなくなるのが日常茶飯事です」
さらに苛烈なのが、道路工事や建築現場を担う交通誘導員の現場です。SNSや匿名掲示板には、現場の苦痛を訴える生々しい声が溢れています。
「真夏のアスファルトは50度を超える。立ちっぱなしで熱中症になりかけても、後続車を止めるわけにはいかない。ドライバーからは『早く通せバカ野郎』とクラクションを鳴らされ、近隣住民からは『工事の音がうるさい』と理不尽に怒鳴られる。工事現場の作業員からも下に見られ、人間としての尊厳を削られる感覚になる」(SNS上の隊員手記より抜粋)
社会の安全を担保するエッセンシャルワーカーでありながら、現場で浴びせられる「理不尽な感情のゴミ箱」としての扱いが、施設警備員の離職率を高め、過酷な交通誘導員不足の現状を加速させています。