この名もなき社員たちの壮絶な戦いを活写したのが、元読売新聞社会部記者である清武英利が著した傑作ノンフィクション『しんがり 山一證券 最後の聖戦』だ。綿密な取材に基づいて執筆されたこの経済ノンフィクションは、組織犯罪の闇を暴くだけにとどまらず、泥舟に残された者たちの心の葛藤を浮き彫りにした。
会社を私物化し不正を隠蔽し続けた歴代トップたちへの怒り。家族を抱えながらも自ら退職金の減額やキャリアの断絶を受け入れる苦悩。清武英利は、勝者の成功譚ではなく、敗れ去る組織で正義を貫こうとした人間たちの泥臭い矜持を鮮烈に描き出した。本書は、日本企業が抱える構造的な無責任体質を痛烈に批判する一冊として、今なお読み継がれている。