甘露寺蜜璃は鬼殺隊へ入隊後、当初は炎柱・煉獄杏寿郎の「継子(つぐこ)」として修業に励んでいました。公式ファンブックや外伝の記録にもある通り、彼女は煉獄の指導下で確実に実力を伸ばしていったものの、正統な「炎の呼吸」をそのまま習得することは叶いませんでした。
その最大の要因は、常人の8倍に達する筋肉密度と、異常なまでに関節が柔らかい特異体質にあります。炎の呼吸は、大地を強く踏みしめ、揺るぎない体幹から力強い直線的斬撃を叩き込む剛剣のスタイルです。しかし、蜜璃の身体はあまりに柔軟で、筋肉のバネが強烈すぎたため、従来の型では自身の持つスピードと手数を十全に発揮することができなかったのです。
煉獄杏寿郎は彼女の並外れた才覚を見抜き、型を無理に押し付けるのではなく、独自の個性を活かした剣技へと発展させる道を後押ししました。こうして、炎の呼吸が持つ爆発的な瞬発力をベースにしつつ、新体操のリボンのようなアクロバティックな動作を融合させた完全独自の「恋の呼吸」が誕生したのです。