日本の民俗学において、夜這いの実態を克明に記録・分析した第一人者が宮本常一(みやもと・つねいち)です。宮本は代表作『忘れられた日本人』をはじめとする多数の調査記録の中で、西日本や離島地域の古老たちから直接聞き取った証言を数多く残しています。
宮本の調査資料によると、瀬戸内海の島々や九州の漁村部では、若者宿(若者組の拠点)で集団生活を送る青年たちが、序列や礼儀作法を身につけながら夜這いを行っていました。外部の村から侵入して掟を乱す「他村の若者」に対しては、集落総出で制裁を加える「村境の防衛」としての側面もありました。
また、民俗学者の赤松啓介らによる研究でも明らかなように、地域差は非常に顕著でした。厳格な家格制度が支配的だった東北地方の一部では夜這いが制限されていた一方、西日本の農山漁村では開放的な性風俗として広く定着していたことが確認されています。