全国的なメディア露出では、どうしてもビジュアルの分かりやすい柑橘類や焼き芋が取り上げられがちですが、徳島の食の本質は、過酷な自然や歴史的産業の背景から生まれた「日常食の洗練」にあります。その筆頭が、地元スーパーの惣菜コーナーで山積みにされるフィッシュカツです。
白身魚のすり身にカレー粉や唐辛子などの香辛料を練り込み、パン粉をまぶして揚げたこの逸品は、昭和30年代に小松島市の水産加工業者が考案したとされています。県外の人間からは「揚げ蒲鉾の一種」と軽視されがちですが、現地では「トースターでカリッと温め、ウスターソースやマヨネーズを添えて白米やビールと合わせる」のが鉄則。駄菓子感覚の手軽さとスパイシーな奥深さが同居した、極めて完成度の高い地元民おすすめ徳島名産品です。
また、徳島県名物お菓子の領域も見逃せません。民話「阿波の狸合戦」にちなんで昭和12年に誕生した老舗・ハレルヤの「金長まんじゅう」は、チョコレートを練り込んだほろ苦い皮と白あんの絶妙な調和が光るロングセラーです。さらに、阿波和三盆糖と徳島産牛乳を使用した洋菓子「マンマローザ」(イルローザ)や、眉山の麓で400年以上受け継がれる焼き菓子「滝の焼餅」など、歴史の深さを物語る銘菓がひしめき合っています。