スポーツ医学や運動心理学の観点から見ると、トップアスリートにおける盗塁の最大のリスクは「足首や肩の関節にかかる過剰なブレーキ衝撃と怪我」にあります。大谷翔平の走塁マネジメントは、このリスク管理において極めて先進的なモデルケースといえます。
大谷はスライディングの際、勢いを無理に止める急激な摩擦を避け、ベースの側面へ滑らかに身体を逃がす技術を多用しています。また、行動科学における「ヒューリスティクス(直感的判断)」だけに頼るのではなく、データに基づいた「完全な確信」が得られた打席でのみ走るという認知的なセルフコントロールが徹底されています。
二刀流としてマウンドに復帰するフェーズにおいては、脚への負荷と肘への影響を考慮した「走塁の省エネ化・厳選化」が求められます。単に数を追い求めるのではなく、ここぞという勝負どころで確実に1点を奪うための武器として盗塁を機能させる姿勢は、自己の身体を客観視できる超一流プロフェッショナルならではの境地です。