「耳掃除をしているのにすぐたまる」と悩む人の多くは、耳の汚れではなく解剖生理学的な特徴に原因があります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の知見や臨床データに基づき、耳垢がたまりやすい人に共通する4つの要因を紐解きます。
第1の特徴は、アポクリン汗腺の分泌が多い「湿性耳垢」の体質です。日本人の約84%はカサカサした「乾性耳垢」ですが、残る約16%は水分の多い「湿性耳垢(軟性耳垢)」を持っています。この違いは遺伝子(ABCC11遺伝子)によって決まっており、湿性耳垢の人は粘り気が強いため外耳道の壁に付着しやすく、自然排出されにくい傾向があります。
第2の特徴は、外耳道が狭い、あるいは曲がりくねっている骨格的要因です。生まれつき耳の穴が細い人や、骨の隆起(外耳道骨腫など)がある人は、皮膚のターンオーバーによって外へと押し出される動線が物理的に塞がれがちになります。
第3の特徴は、高齢化に伴う自浄機能と分泌機能の変化です。高齢者になると、耳垢を外へ送り出すベルトコンベアの役割を果たす外耳道皮膚の移動速度が低下します。さらに、皮膚の乾燥によって耳垢が硬化して塊になりやすくなり、咀嚼による押し出し効果が弱まることも蓄積を加速させます。
第4の特徴として見逃せないのが、小さな子供特有の未発達な耳構造です。子供の外耳道は非常に狭く、新陳代謝が活発で皮脂分泌も盛んなため、短期間で耳垢が奥に詰まりやすい環境が揃っています。