刑事訴訟法第475条2項には「死刑執行の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない」と明示されています。それにもかかわらず、死刑確定から執行までの平均年数は10年から15年以上に達しており、法律の条文と現実の運用との間には著しい乖離が生じています。
この「6ヶ月規定」が形骸化している背景には、過去の最高裁判所判例があります。最高裁は同条文について、執行を義務付ける強制規定ではなく、手続きの目安を示す「訓示規定」に過ぎないと判断しています。つまり、6ヶ月を過ぎたからといって違法になるわけではないという法的解釈が定着しているのです。
執行までの期間が長期化する実務上の理由は明白です。最大要因は「冤罪の可能性を極限まで排除するための慎重な審査」にあります。過去に免田事件や財田川事件など、死刑確定後に再審無罪となった4大死刑冤罪事件の反省から、法務省は確定記録の洗い直しに膨大な時間をかけるようになりました。
さらに、多くの死刑囚が弁護人を通じて「再審請求」を繰り返し申し立てる実情があります。かつては再審請求中であれば慣例的に執行が見送られていたため、結果として収容期間が長期化し、死刑囚の高齢化や拘置所内での病死事例が増加する一因となっています。