2026年の今、英米を中心とする海外出版界で異例のヒットを記録しているのが、1999年に第13回メフィスト賞を受賞した『ハサミ男』の英訳版および新訳版だ。連日、BookTokやSNSには、結末の真相に絶句する海外のZ世代読者のリアクション動画が溢れかえっている。
美少女を次々と殺害し、遺体の首にハサミを突き立てるシリアルキラー。しかし、彼が次の標的を定めた矢先、別の何者かが自分の手口をそっくり模倣して獲物を横取りしてしまう。この突飛なイントロダクションから始まる物語は、緻密に張り巡らされた伏線と、読者の盲点を突く構造によって展開される。かつて日本のミステリ界を騒然とさせた衝撃は、言語と時空を超え、現代の海外読者をも翻弄し続けているのだ。