1963年のオリジナル版は、東映が得意とした「集団抗争時代劇」の最高峰として知られる。組織の歯車として使い捨てられる武士たちの非情な現実を描いたオリジナルに対し、三池版は社会構造の残酷さを継承しつつ、痛快なエンターテインメント性を極限まで増幅させた。
特に象徴的なのが、山田孝之が演じた島田新六郎の存在だ。酒と女に溺れ、武士道に冷笑的な態度を取っていた若者が、死線の中で自らの血を沸き立たせていく過程は、現代を生きる観客の視線と見事にシンクロする。
さらに、伊勢谷友介演じる山の民・木賀小弥太のようなトリックスターを配置することで、武士階級の倫理観そのものを相対化してみせる。古典への敬意を払いながらも、時代劇の固定観念を鮮やかに粉砕するアプローチこそ、本作が世界水準で評価される所以だ。