近年の古生態学調査によって浮上したのが、外来生物による生態系インパクトです。ポリネシア人が移住時に食料として持ち込んだ「ポリネシアンラット(ナンヨウネズミ)」の存在が、森林消滅に決定的な役割を果たしたことが明らかになってきました。
かつて島を覆っていた固有種のヤシ(Paschalococos disperta)は、成長が極めて遅い樹種でした。島内に天敵が存在しない環境下で、ネズミの個体数は爆発的に増加。調査で発掘されたヤシの種子の化石を精密に分析したところ、90%以上の種子にネズミがかじった歯型が確認されました。
つまり、成木が人間によって伐採されたこと以上に、「落ちた種子が食い荒らされたことで次の世代の木が育たなくなった」という再生産サイクルの完全な遮断こそが、イースター島のヤシの木を絶滅へと追いやった主因であると結論づけられています。人間による伐採、農業用の火入れ、そしてネズミによる食害という複合要因が重なり、森林の回復力を限界突破させてしまったのです。