1993年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された美山町(南丹市)北集落。現存する茅葺き家屋の多くは江戸時代中期から末期にかけて建てられたもので、今なお住民が日常生活を営んでいる点が世界的に見ても極めて珍しい。
だが、その屋根を維持するのは容易ではない。茅の葺き替えには膨大なコストと熟練の手技が必要となる。文化庁の支援や地域独自の助成金制度があるものの、現場を支える茅葺き職人(萱葺師)の高齢化と後継者不足は深刻だ。屋根に使われるススキやヨシの確保、材料の保管、足場組みから仕上げに至るまで、ひとつの屋根を葺き替える作業はまさに地域総出の共同作業であり、そのコミュニティの結束力そのものが試されている。