なぜレベルファイブは、認知度抜群の『妖怪ウォッチ5』というナンバリングを冠さず、新IP『ホーリーホラーマンション』として立ち上げたのでしょうか。その裏には、平成後期のコンテンツビジネスが直面した構造的な課題と消費サイクルの教訓が存在します。
2010年代半ば、社会現象化とともに巻き起こった「妖怪メダル」の争奪戦や連日のメディア露出は、爆発的な収益をもたらした一方で、ファンの急激な「コンテンツ疲労」を招く結果となりました。また、ナンバリングが重なるにつれて世界観や設定が複雑化し、新規の低年齢層やライトユーザーが参入しづらくなる「シリーズの高齢化問題」が顕著化していたのです。
メディア生態学の視点から見れば、かつて『妖怪ウォッチ』を熱狂的に遊んだ世代は現在10代後半〜20代の大人へ成長しています。旧来の枠組みを一度解体し、懐かしさを感じる既存ファンと、まったく先入観を持たない令和の子どもたちを同時に巻き込むためには、「親しみやすいゴースト」というテーマだけを抽出した完全新作としてのリブランディングが不可欠だったと言えます。