「3人のうち1人が消えて残り2人になったのだから、確率は2分の1になるはずだ」。多くの人がこの直感的なトラップに嵌まる最大の理由は、「看守が回答したプロセス」に潜む情報の偏りを無視してしまう点にあります。
このパラドックスを解く決定的な鍵は、囚人A自身の運命ごとに「看守がどう答えるしかなかったか」という行動パターンの分岐を観察することです。
以下の3つの世界線に分けて考えてみます。
①【恩赦がAの場合】(確率:1/3)
処刑されるのはBとCの両方です。看守は「B」と答えることも「C」と答えることも自由に選べます。看守がコイントスなどのランダムな基準で名前を選ぶとすれば、看守が「B」と答える確率は1/3 × 1/2 = 1/6となります。
②【恩赦がBの場合】(確率:1/3)
処刑されるのはAとCです。しかしAは「BかCの処刑されるほうを教えろ」と頼んでいるため、看守は恩赦対象であるBの名前を口にできません。したがって看守は必ず「C」と答えるしかなく、看守が「B」と答える確率は0です。
③【恩赦がCの場合】(確率:1/3)
処刑されるのはAとBです。看守は恩赦対象であるCの名前を言うわけにはいかないため、必然的に「B」と答えるしか選択肢がありません。したがって、看守が「B」と答える確率は1/3 × 1 = 1/3(2/6)となります。
看守が実際に「B」と発言した世界線だけを拾い上げると、該当するのは①のケース(確率1/6)と③のケース(確率2/6)の2つしか存在しません。
看守が「B」と言ったという確定情報のもとでは、全体の発言確率は「1/6 + 2/6 = 3/6(1/2)」に絞られます。その全体の中で、Aが恩赦である割合は(1/6) ÷ (3/6) = 1/3にとどまります。一方、Cが恩赦である割合は(2/6) ÷ (3/6) = 2/3となり、実にAの2倍の確率を占めることになるのです。