鍼治療の根幹にあるのは、微細な傷をあえて組織に作ることで発動する「軸索反射」と「自律神経の調整作用」です。極細の鍼が皮膚や筋肉を刺激すると、生体防御反応としてその部位にプロスタグランジンやサブスタンスPなどの神経伝達物質が放出され、血管が一気に拡張します。
この鍼灸による血流改善メカニズムがスムーズに働くかどうかを左右するのが、自律神経の柔軟性です。鍼の刺激は、興奮状態を司る交感神経の過剰な働きを鎮静化させ、休息や修復を促す副交感神経を優位に導きます。普段からオン・オフの切り替えが可能な人は、この刺激をきっかけに一気にリラックスモードへと移行し、毛細血管の隅々まで新鮮な血液が巡り始めます。
反対に、極度の過労や極度の睡眠不足で自律神経が枯渇状態(いわゆる交感神経フリーズ状態)にあると、副交感神経へのスイッチがうまく入らず、血管の拡張反応が鈍くなってしまいます。