ナツメグのリスク管理において、成人健常者以上に厳重な注意を払わなければならないのが「妊婦」「小児」「家庭のペット」の3者です。
妊娠中・授乳期の摂取による胎児への影響
ナツメグに含まれるミリスチシンには、子宮収縮を促進する作用やプロスタグランジンの合成を阻害する作用が指摘されています。古くは民間伝承において堕胎薬として乱用された歴史があるほどです。通常の料理に含まれる微量(0.1g程度)であれば胎児に直接の悪影響を及ぼす可能性は極めて低いとされていますが、サプリメント等での過剰摂取やナツメグを大量に使った料理の連食は避けるべきです。
子どもの身体への影響と事故防止
体重が成人の数分の一しかない幼児・小児の場合、大人にとっての少量(1g〜2g程度)であっても中毒症状が発現する恐れがあります。誤って調味料棚のビンを開けて舐めてしまう事故を防ぐため、手の届かない場所への保管が徹底されなければなりません。
犬や猫に対する猛毒性
人間以外のペット、特に犬や猫にとってナツメグは完全な禁忌食材です。肉食・雑食の動物はミリスチシンを肝臓で解毒・代謝する能力が人間よりも著しく低く、わずか耳かき1杯の誤飲でも、中枢神経麻痺、激しい痙攣発作、震え、高体温、重篤な腹痛を引き起こし、最悪の場合は命を落とします。ハンバーグのタネや残り物を「少しだけなら」とペットに与える行為は絶対に厳禁です。