個別タレントの動向において、最も象徴的な事例となったのが目黒蓮CM継続と木村拓哉CM契約状況の変遷、そしてモスバーガーCM対応を巡る混乱です。
Snow Manの目黒蓮に関しては、キリンビバレッジの「午後の紅茶」やコーセーの広告などで契約継続・再起用が相次ぎました。当時、一部で起用見合わせが報じられたものの、タレント本人の圧倒的な好感度と商品の売上伸長データが決め手となり、企業側は「タレント個人の活動を不当に制限すべきではない」という判断へ回帰しました。ラグジュアリーブランドであるFENDIのジャパンメンズアンバサダー就任なども重なり、個人のブランド力がいかに組織のリスクを凌駕し得るかを証明したケースと言えます。
一方、平成から令和の広告界を牽引してきた木村拓哉を巡っては、日産自動車や日本マクドナルドといったグローバル基準を重視する巨大企業との契約満了が話題を呼びました。しかしその後、ゴルフウェアブランドや国内有力メーカーとの新たな契約が締結され、成熟した大人の魅力を求めるターゲット層に向けた起用シフトが進んでいます。
対照的に、企業広報の失敗例として今なおメディア研究で言及されるのがモスバーガーの店舗対応問題です。事務所問題の渦中、店頭販促ポスターのタレントの顔部分にシールを貼って掲示していた事実が発覚し、「タレントへの人権侵害」「リスペクトの欠如」としてファンのみならず一般層からも激しい批判を浴びました。この騒動は、企業の危機管理において「場当たり的な対応がいかにブランド価値を毀損するか」という重い教訓を広告業界全体に残すことになりました。