なぜ「症状が出る前に薬を飲む」必要があるのでしょうか。その答えは、鼻粘膜のアレルギー反応において生じる「プライミング効果(感作の増幅現象)」にあります。
花粉症は、体内に入った花粉に対して作られたIgE抗体が、鼻の粘膜にある肥満細胞に結合することから始まります。本格的な飛散が始まる前の微量な花粉であっても、連日吸い込み続けることで鼻粘膜の神経や血管が徐々に過敏になっていきます。この下地が完成した状態こそがプライミング効果です。一度この過敏状態が成立してしまうと、ごくわずかな花粉が触れただけでも、肥満細胞から大量のヒスタミンやロイコトリエンが放出され、激しいくしゃみや鼻づまりが引き起こされます。
症状が出現してから薬を服用した場合、すでに暴走状態にあるアレルギー反応の火消しに追われることになり、花粉症の薬が本来持つ「アレルギー炎症の発生そのものを抑える効果」を十分に引き出せません。飛散開始の約2週間前から抗ヒスタミン薬などを血中に一定濃度維持させておくことで、肥満細胞の興奮を未然にブロックし、過敏性の進行を根底から食い止めることができます。