日常的に見られる少量の目やにと、治療が必要な病的な目やにには明確な境界線が存在します。普段から愛犬の目元を観察し、性状や色の微細な変化を捉える観察眼が求められます。
朝起きた直後に目頭にわずかに付着している白っぽくサラッとした分泌物や、乾燥して黒褐色になった極小の粒状のものは、通常の代謝物であり過剰な心配はいりません。一方で、最も警戒すべきなのが犬目やに黄色緑原因となる細菌感染の兆候です。眼球に細菌が増殖すると、免疫反応として大量の白血球が動員され、死滅した白血球と細菌の死骸が混ざり合うことで特有の粘稠度(ねばりけ)を持った黄色や黄緑色の膿性目やにへと変化します。
代表的な基礎疾患としてまず挙げられるのが、犬の結膜炎初期症状です。白目の充血、まぶたの軽度な腫れ、頻繁に瞬きを繰り返す仕草から始まり、悪化するにつれて目やにの量が急増します。アレルギー性や異物混入が引き金となるケースも多く見られます。
さらに見逃してはならない重篤な疾患が角膜潰瘍です。犬角膜潰瘍目やに特徴としては、急激に分泌量が増える黄白色の粘着性目やにに加え、強い痛みのために目を細めて開けられなくなる(眼瞼痙攣)、患部を前足で擦ろうとする、光をやたらと眩しがる仕草が挙げられます。パグ、フレンチブルドッグ、シー・ズーなどの短頭種は眼窩が浅く眼球が突出しがちなため、日常の散歩中の草木接触や摩擦による角膜損傷から潰瘍へ移行するリスクが非常に高い傾向にあります。
また、中高齢期に急増する犬ドライアイ目やに理由としては、乾性角結膜炎(KCS)が代表的です。免疫異常や加齢、特定薬剤の影響などで涙の分泌量が著しく低下すると、角膜表面を保護する油層やムチン層のバランスが崩れ、灰色から黄白色の糸を引くようなネバネバした目やにが眼球にびっしりと張り付く状態に陥ります。涙液量が減少して自浄作用が失われるため、二次感染を併発して視力低下を招く恐れがあります。