ネット上の情報を見て「鞆の浦で本当に食べるべきものは何か」と悩む旅行者は少なくありません。現地に息づく味覚を大別すると、「瀬戸内の鮮魚」「伝統の保命酒」「港町の揚げ物」の3本柱に集約されます。観光動線上で外せない鞆の浦の名物グルメの詳細まとめを紐解いていきます。
筆頭に挙げられるのが、名物「鯛(タイ)」を使った料理です。江戸期より「鯛網(たいあみ)」で知られる鞆の浦では、鯛の骨から取った濃厚な出汁で米を炊き上げる鯛めしランチの評判が非常に高く、週末には各店舗の前に行列が形成されます。「鞆膳」や「千とせ」をはじめとする老舗割烹・食事処では、ふっくらとした鯛の身と芳醇な出汁の香りが広がるお膳を提供。事前予約を受け付けていない店舗も多いため、混雑回避には昼前の11時台前半の入店が定石とされています。
散策のお供として真っ先に手に入れたいのが、瀬戸内の小魚文化を継承する阿藻珍味の練り物です。店頭で焼きたてを提供する「鯛ちくわ」は、香ばしい焦げ目と弾力のある歯ごたえが特徴。さらに、小魚のすり身を油で揚げた「がす天」や、一口サイズの「ちーいか天ぷら」は、程よい塩気と旨味が凝縮されており、潮風を感じながら味わうワンハンドフードとして不動の支持を獲得しています。
そして、歴史文化と見事に融合したのが鞆の浦の保命酒ソフトクリームです。保命酒とは、みりんをベースに桂皮や丁子、高麗人参など16種類の生薬を漬け込んだ江戸時代初期発祥の薬味酒。「入江豊三郎本店」や「岡本吉彦商店」などの老舗蔵元が軒を連ねる街道筋では、アルコール分をしっかり飛ばしつつ、保命酒特有のスパイス感と上品な甘みを凝縮したソフトクリームが販売されています。漢方のような重さはなく、まるで上質なチャイやキャラメルを思わせる深みがあり、SNSでも「唯一無二の味わい」として拡散が続いています。