インターネット上の掲示板やSNSでは、スニーカーのフィッティングに関して科学的根拠を欠く俗説が散見されます。その最たるものが「靴紐は常に限界までキツく締め上げるべき」という誤解です。
足の甲には多くの神経束や血管(足背動脈)が走行しています。足ブレを恐れるあまり甲部分を過度に締め上げると、血行不良による足の冷えやしびれ、さらには足底腱膜への過剰な緊張を誘発します。プロのシューフィッターが推奨する理想の締め加減は、「つま先から甲の中央までは足指が自由に動く程度の適度なテンション、足首に近い上部2段のみを隙間なくタイトに締める」というグラデーションです。
もう一つの誤解は、「脱ぎ履きをスムーズにするため、靴紐を結んだまま無理やり踵をねじ込んで履く」という習慣です。これはニューバランスの命とも言えるヒールカウンター(踵の芯材)を一瞬で破壊し、靴の寿命を極端に縮めるだけでなく、歩行姿勢の歪みを招く最大の原因となります。