仏教の各宗派には、それぞれ教義に基づいた108玉の「本式数珠」が存在します。家庭や自身の宗派の法要で本式数珠を用いる場合、他宗派の所作を混同すると重大な誤解を生みかねません。本式数珠と略式数珠の違いを理解した上で、主要宗派の合掌時の特徴を把握しておく必要があります。
まず、浄土真宗 数珠の持ち方は、他宗派と大きく異なります。本願寺派(西)では、二重にした数珠を両手で挟み、房を左手の外側に垂らして親指と人差し指の間に挟んで合掌します。一方、真宗大谷派(東)では、二重にした輪を両手親指と人差し指の間に挟み、房を上に向けて手のひらの内側に巻き込むように垂らします。いずれの派でも、自力による念仏ではなく他力本願の教えに基づいているため、数珠を激しく擦り鳴らすことは一切行いません。
これに対し、曹洞宗 数珠の持ち方では、金属の環(百八環)が通された一本の長い念珠を二重にし、左手首に掛けてから両手を合わせ、親指と人差し指の間に輪を挟んで房を真下に垂らします。座禅を重んじる禅宗らしく、音を立てずに静寂を保つ合掌が基本です。
真言宗 数珠の持ち方で用いる振分念珠(ふりわけねんじゅ)は、表と裏に房があるのが特徴です。合掌の際は両手の中指に念珠を掛け、房を手のひらの中に包み込むようにして手を合わせます。真言宗では祈願の際に数珠を両手で包んでジャラジャラと擦り鳴らし、煩悩を打ち砕く音を立てる作法が許容される場合があります。
最後に、日蓮宗 数珠の持ち方は独特の構造を持ちます。親玉が2つあり、一方に2本、もう一方に3本の房がついています。合掌の際は、3本房の親玉を左手の中指に、2本房の親玉を右手の中指に掛け、中央で一度ねじって交差させ、両手を合わせます。題目(南無妙法蓮華経)を唱える際の一体感を表現する高度な作法です。