仕事の都合や交通渋滞の回避から、多くの人が直面するのがお盆の墓参りの前倒しに関する不安です。「13日より前にお参りすると、まだご先祖様が帰ってきておらず失礼にあたるのではないか」という懸念は、ネット上の相談窓口でも毎年大量に投稿されています。
この点について、仏教各宗派の教学部門や全日本仏教会などの見解は明確です。日程を前倒ししてお墓参りを行うことは、宗教的になんら非難されることではありません。むしろ、盆入り前の8月8日〜12日頃に訪れて墓石を丹念に清め、雑草を抜いておく行為は「精霊を迎えるための清掃奉仕(お墓洗い)」として古来高く評価されてきました。事前に墓所を整えておくことで、13日には自宅の精霊棚(盆棚)で落ち着いてご先祖様をお迎えすることができます。
一方で、お盆の墓参りで避けるべき日として民間伝承で語られる「六曜(仏滅や友引)」や「三隣亡」について、仏教の教義とは一切関係がありません。お釈迦様の教えにおいて日の吉凶を占う概念は存在せず、友引にお参りしても「友が引かれる」といった実害は皆無です。
ただし、現実的な観点から「避けるべき時間帯」は厳然として存在します。それは日没後の夕暮れ・夜間です。暗がりでの足元の危険(段差や石畳の苔による転倒)、蜂や蛇などの毒虫被害、線香の消し忘れによる火災リスクなど、防犯・防災上の観点から日没後の霊園立ち入りは厳禁とされています。