早期退職の決断を後押しする最大の要因が「割増退職金」の存在です。上場企業の開示情報や人事コンサルティング会社の調査資料を分析すると、早期退職割増退職金相場2026年最新データでは、通常の自己都合退職金(約1200万〜1800万円)に対し、月給の12ヶ月分から36ヶ月分(約600万〜2000万円)が上乗せされるケースが主流となっています。
一部の大手製薬会社や外資系ITでは「基本給の48ヶ月分+再就職支援金」として上乗せ額が3000万円を超える破格のパッケージも散見されます。SNS上では「パッケージで5000万円ゲット」「これでFIRE達成」と歓喜する投稿がタイムラインを賑わせますが、希望退職募集企業の評判とネットの反応を深掘りすると、歓喜の裏に潜む冷酷な企業側の計算が透けて見えます。「高年収層の50代を整理し、AI導入と若手のデジタル人材へ人件費をシフトする」という明確な経営意図があり、割増金はいわば“手切れ金”に他なりません。
さらに見落としてはならないのが、早期退職後の年金受給額と減額の真相です。公的年金は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建てですが、50歳で会社を辞めて厚生年金を脱退すると、60歳定年まで勤務し続けた場合と比較して、将来受け取れる年金額が恒久的に削られます。
平均年収700万円の会社員が50歳で早期退職し、その後60歳まで第1号被保険者(国民年金のみ)として納付した場合、65歳以降に受け取れる老齢厚生年金は年額にして約25万〜30万円減少します。夫婦合わせて85歳まで20年間生きると仮定した場合、生涯で受け取る年金受給総額は500万円から600万円以上も目減りする計算です。「今もらえる割増退職金」の数字に目を奪われ、将来の確定的なキャッシュインが削られるダメージを計算から除外してしまうのは致命的な過失と言わざるを得ません。