毛穴パックに手を伸ばす人のほぼ全員が「鼻の頭が黒いから角栓が詰まっている」と思い込んでいます。しかし、皮膚科の拡大鏡(ダーモスコピー)で黒ずみに悩む患者の鼻を観察すると、驚くべき真実が明らかになります。
鼻の黒ずみには、大きく分けて4つの異なる病態が混在しています。
1つ目は、皮脂と角質が混ざって酸化した詰まり毛穴。2つ目は、先述した摩擦や紫外線によって毛穴の縁が色素沈着を起こしたメラニン毛穴。3つ目は、皮脂に含まれる不飽和脂肪酸の刺激によって毛穴周辺の皮膚が萎縮したすり鉢毛穴。そして4つ目は、毛穴の中に複数本埋没している微細な産毛(うぶ毛)です。
この中で毛穴パックの粘着力で取れる可能性があるのは、1つ目の「詰まり毛穴」の頭頂部だけです。メラニンによる色素沈着やすり鉢毛穴の影に対してパックを貼り付けても、黒ずみが取れるはずがありません。それどころか、取れない焦りからパックを長時間放置して強力に密着させたり、剥がす頻度を増やしたりすることで、メラニン色素の沈着やすり鉢化をさらに悪化させるという悲惨な結末を迎えます。鏡を見て「まだ黒い」と感じたとき、それが角栓の影なのか、皮膚そのものの変色なのかを見極めないままパックを連用することは、自ら肌に傷をつけに行く行為に等しいのです。