「ダンゴムシがコンクリート壁に群がって何かをかじっている」という光景を目撃したことはないでしょうか。るるぶKidsが2026年3月に報じた生態特集でも解説されている通り、ダンゴムシは落ち葉や草の根だけでなく、昆虫の死骸、段ボールや新聞紙などのセルロース、果てはコンクリートまで口にする驚異的な食性を持っています。なぜ消化すら難しそうな無機物の塊をかじるのか、そこには彼らの分類学上のルーツが深く関わっています。
ダンゴムシは名前に「ムシ」と付きながらも、昆虫ではなくエビやカニと同じ甲殻類(等脚目)の仲間です。硬い体を維持し、成長のために繰り返す脱皮を成功させるためには、大量の炭酸カルシウムを体内に取り込み続けなければなりません。自然界では石灰岩や貝殻からカルシウムを摂取しますが、人工物に囲まれた都市部や住宅地では、炭酸カルシウムを豊富に含むコンクリートの表面が最も手軽な補給スポットとなるのです。
飼育下でカルシウムが不足すると、殻が柔らかいまま硬化不良を起こしたり、脱皮の途中で力尽きる「脱皮不全」に陥って命を落とします。さらに深刻なケースでは、脱皮直後の柔らかい仲間をカルシウム源として襲う痛ましい共食いが発生します。彼らにとってコンクリートをかじる行為は、奇行などではなく命を繋ぐための必須行動に他なりません。