かつて広く使われていた「インディアン」という呼称は、1492年にアメリカ大陸へ到達したクリストファー・コロンブスが、目的地であったインド周辺の島々に到着したと誤認したことに端を発します。学術的・公的には先住民族を指す総称として「ネイティブアメリカン(Native Americans)」や「インディジナス・ピープルズ(Indigenous Peoples)」が定着していますが、当事者の間では「アメリカン・インディアン」という呼び名が自称として受け入れられている場面も少なくありません。
彼らは決して一枚岩の単一民族ではなく、独自の言語、信仰、社会規範を持つ独立した部族の集合体です。現在、アメリカ合衆国政府が公認している部族だけでも570を超えており、それぞれが固有の主権を有しています。
代表的な主要部族には、以下のようなグループが挙げられます。
・ナバホ族(Navajo / Diné):全米最大の人口を誇り、アリゾナ州・ニューメキシコ州・ユタ州にまたがる広大な居留地を持つ。
・チェロキー族(Cherokee):独自の文字体系を発明し、高度な文明を築いた南東部発祥の大部族。
・スー族(Sioux / Lakota, Dakota, Nakota):グレートプレーンズ(大平原)でバッファローを狩り、勇敢な騎馬戦士として知られた部族。
・アパッチ族(Apache):ジェロニモなどの名指導者を輩出し、砂漠地帯で屈強な抵抗を続けた戦士集団。
・ホピ族(Hopi):アリゾナ州のメサ(台地)に定住し、深遠な予言と平和の祈りを継承する農耕民。
・ズニ族(Zuni)/サントドミンゴ族(Santo Domingo):卓越したシルバー工芸やインレイ技法を受け継ぐプエブロ系部族。