イカは捨てるところが軟骨と目玉、くちばし以外ほとんど存在しない優秀な食材です。各部位を的確に切り分けることで、1杯から刺身、焼き物、珍味まで多彩な料理を生み出せます。
ゲソ処理と「イカ 口 カラスビの取り方」
ワタから切り離した足の根元には、イカの口である「カラスビ(トンビ)」が埋まっています。料理研究家のやまでらくみこ氏の調理基準でも推奨されている通り、以下の手順で下処理を行います。
まず、目のキワに包丁を入れてワタと目を切り落とします。足の付け根の真ん中を指で裏側から強く押し出すと、黒く硬い鳥のくちばしのような形状をした「カラスビ」がポコッと飛び出します。このカラスビは上下2枚の硬い爪で構成されているため、周りの筋肉(トンビ肉)を傷つけないように爪だけを取り除きます。この筋肉部分は最も筋肉密度が高く、串焼きにすると絶品です。
続いて足(ゲソ)の下処理です。イカの足は10本ありますが、獲物を捕らえるための2本の触腕だけが極端に長く、吸盤も大きい構造をしています。この2本を他の8本と同じ長さに切り揃え、包丁の背や刃先を寝かせて足先に向かってしごくように動かし、硬い吸盤のリング(角質環)を削ぎ落とします。これにより、加熱時の油ハネを防ぎ、滑らかな口当たりを実現できます。
滑らず一瞬で剥ける「イカ 皮むき 簡単な裏技」
イカの皮は指先が滑って千切れやすく、多くの自炊初心者がストレスを感じる工程です。しかし、乾いたキッチンペーパーまたはふきんを1枚用意するだけで劇的に簡単になります。
エンペラを引き剥がした跡の境目から、身と皮の間に指を入れ少し隙間を作ります。そこに乾いたキッチンペーパーを当てて皮の端をしっかり挟み込み、反対の手で身を押さえながら一気に反対側へ引くと、摩擦力によって皮が滑らず、破れることなく1枚のシートのように綺麗に剥がれます。指先に粗塩をまぶして滑り止めにする方法も板前修業の現場で多用される伝統的技法です。
旨味を極限まで濃縮する「イカの塩辛 自家製レシピ」
イカ 内臓 処理とワタの活用の最高峰が自家製の塩辛です。市販品のような保存料や増粘多糖類を使わず、純粋なワタの濃厚さを引き出す黄金比率は「脱水」にあります。
傷のない新鮮なスルメイカのワタに、全体が白くなるほど大量の粗塩を振り、バットに斜めに置いてラップをかけずに冷蔵庫で6〜12時間脱水させます。余分な水分と生臭みが抜けたら、表面の塩をサッと酒で洗い流し、薄皮をハサミで切って中身のペーストを絞り出します。細切りにして半日陰干しまたはペーパーで水気を抜いたイカの胴身とワタを「身100gに対してワタ20〜30g、塩分濃度約5%」で和え、みりん小さじ1と柚子の皮を加えて冷蔵庫で2〜3日熟成させると、芳醇な自家製塩辛が完成します。