阿藤さんの役者人生は、決して順風満帆なスタートではありませんでした。大学を卒業後、本格的に演技の道を志した彼は、名門として知られる劇団文学座の研究生としてキャリアを踏み出します。しかし、当時はまだ名もない若手の一人に過ぎず、役者一本で食べていくにはほど遠い極貧の下積み生活が続きました。
アルバイトに追われながら舞台の稽古に打ち込む日々。そんな先も見えない苦しい時代に、彼を間近で信じ続けたのが妻でした。自分の夢を追いかける夫を責めることなく、生活を工夫しながら温かい食事を用意し、愚痴一つこぼさずに応援し続けたのです。この時期に培われた二人三脚の強い絆こそが、後に芸能界で大開花する阿藤さんの粘り強い役者魂の根幹となりました。