制作当時は完璧なサウンドメイキングよりも、スタジオ内の「空気感」と「熱気」をそのままマイクに閉じ込めることに全力が注がれた。関係者の証言によると、トータス松本はブースに入るなり一発撮りに近い緊張感でボーカルを吹き込んだという。クリック音に縛られないバンド全体のグルーヴが、生の感情の揺らぎを見事に表現している。
スタジオ内で生まれる偶然のノイズや歪みすらも味方につけたレコーディングプロセスは、過度なデジタル編集が全盛となった現代において、より一層の光を放つ。生々しいアコースティックギターの音色と唸るベース、そして感情をダイレクトに叩きつけるドラムのアンサンブル。これらが融合した奇跡のセッションこそが、「泣けてくる」の真の正体である。