この重厚なドラマを世に送り出したのは、日本文学界に「経済小説」という一大ジャンルを確立した巨匠・城山三郎である。城山は入念な取材と関係者へのインタビューを重ね、霞が関の複雑な組織構造や人間模様を見事に浮き彫りにしてみせた。
城山三郎が描いたのは、単なる政治劇や成功美談ではない。組織の巨大なギアとして組み込まれながらも、自らの矜持を保とうともがく人間の孤独や葛藤である。国家のために私生活を犠牲にし、出世レースの冷酷なリアリティに直面しながらも意志を貫こうとする主人公たちの姿は、組織で働くあらゆる人々に深い共感をもたらす経済小説の金字塔として、時代を超えて読み継がれている。