白身でありながら脂の乗りが抜群な太刀魚を刺身で食べる際、必ず知っておくべきリスク管理が太刀魚のアニサキス対策です。太刀魚は獰猛なフィッシュイーターであり、イワシやイカなどを大量に捕食するため、内臓周囲を中心に寄生虫(アニサキス幼虫)を保持しているケースがあります。
厚生労働省や水産庁が公開している食中毒防止基準に基づき、以下の3つの防御策を徹底してください。
- 内臓の即時除去:魚が死亡すると、内臓にいたアニサキスは鮮度低下に伴い筋肉部(身)へと移行します。釣獲後や購入後は可能な限り早く内臓を取り出すことが最大の予防策です。
- 強力な白色光での目視確認:大名おろしにした身を光に透かすように観察します。アニサキスは体長1〜2cm前後の白い糸状で渦を巻いていることが多く、発見した場合は骨抜きピンセットで確実に除去します。
- 冷凍処理または加熱:生食に不安がある場合、中心部まで-20℃で24時間以上冷凍することでアニサキスを死滅させられます。一般的な家庭用冷凍庫(-18℃前後)の場合は、48時間以上の冷凍が推奨されます。
そして、安全性を担保した上で太刀魚の旨味を極限まで引き出す調理法が太刀魚の炙り刺身(焼き霜造り)です。
太刀魚の皮下には濃厚な旨味成分と良質な脂が集中していますが、皮自体に繊維質な弾力があるため、生のままでは噛み切りにくい性質があります。皮目に2〜3mm間隔で格子状または斜めの「細かな隠し包丁(鹿の子調の切れ目)」を入れ、バーナーの強火で皮側を約5〜8秒間、表面の銀色がパチパチと音を立てて香ばしい焦げ目がつく程度に一気に炙ります。
炙り終えた直後、通常の白身魚であれば氷水に落として熱を取りますが、太刀魚の場合は氷水に浸けず、バットに乗せたまま冷蔵庫で数分間急冷するか、うちわで扇いで粗熱を取るのがプロの裏技です。水に浸けないことで、皮下から溶け出した極上の脂と香ばしさを一切流出させずに味わうことができます。