「タッパ」という語感から、英語の「Top(トップ)」や「Topper(トッパー)」が転じた略語だと誤認されることが多々あります。しかし、結論から言えばタッパは何かの略語ではありません。その確かな由来は、古くから日本の大工や土木関係者の間で使われてきた建築用語の「建端(たっぱ)」にあります。
建築現場における「建端」とは、建物の高さ、軒高(のきだか)、天井高、あるいは石垣の高さなど、構造物の垂直方向の寸法を指す専門用語です。たとえば現場監督や大工職人が「この現場はタッパが高い」「タッパをあと10ミリ詰める」といった形で用いていました。これが昭和初期から中期にかけて、人の背の高さや立ち姿のスケール感を比喩する俗語・スラングとして市井に広まり、「タッパがある=背が高く上背がある」という意味で定着したという経緯があります。
一方で、日常生活で馴染み深いキッチン用のプラスチック製密閉容器も「タッパ」あるいは「タッパー」と呼ばれます。こちらは1946年にアメリカの発明家アール・サイラス・タッパー(Earl Silas Tupper)氏が開発し、世界的な大ヒットとなった「タッパーウェア(Tupperware)」が語源です。日本でもタッパーウェアブランズの商標登録として厳格に管理されており、一般名称としては「プラスチック製密封容器」が正確な呼称となります。
つまり、人間の身長を表す「タッパ」とキッチンの「保存容器のタッパー」は、日本語の建築用語とアメリカの人名という全く異なるルートから偶然同じ発音に行き着いた同音異義語です。両者に直接的な意味のつながりは一切存在しません。